※ 当サイトの記事には広告(アフィリエイトリンク)がふくまれています。くわしくは広告についてをご覧ください。
【2026年10月 追記】体の症状についての記事です。症状があるときは、すぐに医療機関へ
- 医師が書いたものではありません。2026年10月に、医師が執筆している「MSDマニュアル家庭版」(英語版)の減圧症のページと照らし合わせて、内容が合わないところを直しました。
- ダイビングのあとに、関節の痛み、しびれ、めまい、息苦しさ、強い疲れなど、いつもと違う症状が出たときは、この記事で自己判断をせず、すぐに医療機関を受診してください。旅行中の場合は、ダイビングショップやホテルにも伝えて、助けを求めてください。
- ダイビングのあと、飛行機に乗るまでに空ける時間については、ダイビングの指導団体やショップの案内に従ってください。
長期休暇やゴールデンウィークを利用して、スキューバダイビングをする方はいらっしゃると思います。
ダイビングは多種多様なカラフルな魚と触れ合えたり、歴史を感じさせる沈船を探索できたりと楽しみ方はたくさんあります。
しかし、その反面リスクもつきものです。特に「減圧症」という言葉をご存じでしょうか。
減圧症とは、高い圧力のもとで血液や体の組織に溶けこんだ窒素が、圧力が下がるときに気泡になって起こる障害のことです。
命にかかわる場合もあるので、ダイビングをするなら必ず知っておきたい症状です。今回は減圧症の原因や症状、予防法や治療法を紹介します。
減圧症とは
ダイビング後「疲労感」「食欲不振」「頭痛」「なんとなく具合が悪い感じ」などの不調が出た場合、減圧症の最初の症状かもしれません。
MSDマニュアル家庭版によると、水面に上がってから1時間以内に症状が出る人は約半数で、6時間以内には90%の人に症状が出ます。
症状は少しずつ始まり、いちばん強くなるまでに時間がかかることが多いとされています。
減圧症は比較的軽症のⅠ型減圧症と比較的重症のⅡ型減圧症に分かれます。特にⅡ型減圧症は後遺症が残ったり、最悪の場合死にいたることもあります。
では、そのような減圧症を引き起こす原因は何なのでしょうか。
原因
減圧症の原因は、圧力の高い水中で体にたまった窒素が、浮上して圧力が下がるときに、血液や組織の中で気泡になることです。
空気は、おもに窒素と酸素でできています。水中では圧力が高いので、1回の呼吸で吸いこむ空気の分子の数は、水面にいるときより多くなります。
酸素は体がいつも使っているので、たまりにくいです。しかし窒素は使われないため、ダイビングをしていると血液や組織の中にたまっていきます。
その後、水中から浮上して圧力が下がると、すぐに吐き出しきれなかった窒素が血液や組織の中で気泡になります。
この窒素の気泡が、組織を傷つけたり血管をふさいだりすることで、痛みなどのさまざまな症状が起こります。
Ⅰ型減圧症
Ⅰ型減圧症は比較的軽いタイプで、おもに関節・皮ふ・リンパ管に症状が出ます。いちばん多いのは痛みです。
痛みは、はじめは軽かったり、出たり消えたりしますが、だんだん強くなっていくことがあります。動かすと痛みが強くなります。
- 腕や足の関節の痛み
- 背中や筋肉の痛み
- かゆみ
- 皮ふのまだら模様・発疹
- 腕・胸・おなかのむくみ
- 強い疲労感

Ⅱ型減圧症
Ⅱ型減圧症は比較的症状が重く、主に脳や脊髄、呼吸器系、循環器系などの重要な器官が侵されます。特に脊髄は侵されやすい部位です。
以下はⅡ型減圧症の症状です。
| 部位 | 主な症状 |
| 脊髄 | 腕や足のしびれ・チクチクする感じ・筋力低下、尿が出ない・排せつをコントロールできない、おなかや背中の痛み |
| 脳 | 頭痛・錯乱・話しにくい・ものが二重に見える(意識を失うことはまれ) |
| 肺 | せき・胸痛・だんだんひどくなる呼吸困難 |
| 内耳 | 重度のめまい・耳鳴り・難聴 |
脊髄の場合、軽い筋力低下やチクチクした感じが、数時間のうちに元に戻らないまひへ進むことがあります。
肺の場合、重い例はまれですが、ショック状態となり死に至ることもあります。
減圧症・予防法や治療法は?
減圧症には予防法と治療法があります。
ダイバーであれば誰でも減圧症になるリスクがあるので、予防法と治療法の正しい知識を身につけておきましょう。

予防
減圧症を予防するには体の中に窒素の気泡を作らないようにすることが基本です。
そのため、「潜る深さと時間をおさえること」「浮上の速さを守ること」が大切です。
ダイバーは、減圧表(ダイブテーブル)やダイブコンピューターの指示に従って浮上します。これに加えて、水面下およそ4.5mで数分間の「安全停止」をするダイバーも多くいます。
ただし、こうした手順を守っても、減圧症のリスクがゼロになるわけではありません。
MSDマニュアル家庭版では、減圧症のリスクを高めるものとして、次のような項目があげられています。
- 潜る深さが深い・時間が長い・浮上が速い・決められた減圧の手順を守らない
- 高齢・肥満
- 脱水・疲労・激しい運動・冷たい水
- ダイビングのあとの飛行機
- 一部の心臓の病気(卵円孔開存、心房中隔欠損など)
また、余分な窒素はダイビングのあと少なくとも12時間は体に残るため、1日に何度も潜ると、1回だけ潜るときより減圧症が起こりやすくなります。
飛行機については、数日間ダイビングをしたあとは、乗るまでに12~24時間あけることが一般的にすすめられています。

Ⅰ型減圧症の治療方法
減圧症の治療は、酸素の吸入と、再圧治療(高気圧酸素治療)です。
症状が、かゆみ・皮ふのまだら模様・疲労感だけの場合は、ふつう再圧治療は必要ないとされています。ただし、あとからもっと重い症状が出ることがあるので、様子を見てもらう必要があります。顔にぴったり合うマスクで100%の酸素を吸うことがすすめられています。

Ⅱ型減圧症の治療方法
症状の重いⅡ型減圧症では、再圧治療(高気圧酸素治療)を行います。
患者は再圧チャンバーと呼ばれる、中の圧力を高くできる装置に入ります。
圧力をかけることで、傷ついた組織に血液の流れと酸素を取り戻します。そのあと、決められた休止をはさみながら少しずつ圧力を下げ、余分なガスが体から安全に出ていく時間をとります。
治療を待つあいだや運ばれるあいだは、マスクで酸素を吸い、水分をとります(口から、または点滴)。

MSDマニュアル家庭版によると、減圧症になった人の大多数は完全に回復します。また、回復したあとにダイビングを再開するときは、その前に医師の診察を受けることがすすめられています。
参考:MSD Manual Consumer Version「Decompression Sickness」(英語。2025年6月に医師が全面的に見直し、2026年10月に閲覧)
まとめ
いかがでしたか。減圧症について理解をしていただけたのではないでしょうか。
- 減圧症は、高い圧力のもとで体に溶けこんだ窒素が、圧力が下がるときに気泡になって起こる障害である
- 減圧症は比較的症状の軽いⅠ型減圧症と比較的症状の重いⅡ型減圧症に分かれる
- 予防に大切なのは「潜る深さと時間をおさえること」「浮上の速さを守ること」。それでもリスクはゼロにはならない
- 減圧症の治療には「酸素の吸入」「再圧治療(高気圧酸素治療)」がある
- いつもと違う症状が出たら、自己判断をせず、すぐに医療機関へ
減圧症を正しく知って予防することが、長くダイビングを続けていくには大切です。安全に気をつけて、ダイビングを楽しんでくださいね。










