ダイビング後の時間経過によって現れる減圧症の症状とは?

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Scuba diving

長期休暇やゴールデンウィークを利用して、スキューバダイビングをする方はいらっしゃると思います。

ダイビングは多種多様なカラフルな魚と触れ合えたり、歴史を感じさせる沈船を探索できたりと楽しみ方はたくさんあります。

しかし、その反面リスクもつきものです。特に「減圧症」という言葉をご存じでしょうか。

減圧症とはダイビング後、血液中や細胞の中の窒素が気泡へと変化しさまざまな組織を侵して引き起こされる障害のことです。

自分の命を脅かしてしまう場合もあるのでダイビングをする上でこの症状は必ず知っておく必要があります。今回は減圧症の原因や時間経過で現れる症状、予防法や治療法も紹介します。

 

減圧症とは

Doctor consulting with patient Back problems Physical therapy concept

ダイビング後「疲労感」「食欲不振」「頭痛」「怠惰感」などの身体への不調が出た場合、減圧症の疑いがあります。

通常1時間~6時間かけて減圧症を発症します。発症時間は人それぞれで、ダイビング後に12時間かけて発症する人もいれば12時間以上経過してから発症する人もいます。

症状は明らかに分かる場合もあれば、すぐには自覚症状が出ない場合もあります。

減圧症は比較的軽症のⅠ型減圧症と比較的重症のⅡ型減圧症に分かれます。特にⅡ型減圧症は後遺症が残ったり、最悪の場合死にいたることもあります。

では、そのような減圧症を引き起こす原因は何なのでしょうか。

 

原因

減圧症を引き起こす原因はスキューバータンクをつけて高圧下である水中に潜ったあと、水中から浮上し圧力が下がるとき身体中の窒素がさまざまな組織を侵すからです。

スキューバータンクの中の空気は79%の窒素と、21%の酸素で構成されています。

Kai
つまり、8割は窒素です。

 

人の身体は酸素を常に消費していますが窒素は消費されず、不純物質として身体中に残り続けます。そのためダイビングをしていると、血液中や細胞の中にどんどん窒素がたまっていきます。

そうすると、身体にはある一定以上の量の窒素がたまった状態になります。その後水中から浮上することで、たまっていた窒素が血液の中や細胞の中で気泡を形成します。

この窒素の気泡こそが減圧症を引き起こす原因なのです。

減圧症はダイビング環境・個人の体質・コンディションなどの違いによって、Ⅰ型減圧症とⅡ型減圧症に分かれます。

 

Ⅰ型減圧症

Ⅰ型減圧症は比較的症状は軽いのですが、断続的な痛みを伴います。
時間が経過するにつれて、痛みが徐々に強く鋭い痛みに変化していくのが特徴です。

主な症状

  • 関節痛
  • 筋肉や背中の痛み
  • かゆみ
  • まひ
  • 脱力感
  • リンパ節の腫れ

  • めまい
  • しびれ
  • 発疹
Kai
これらの症状が直接命を脅かすことはありませんが、無理やり体を動かそうとすると悪化して重い障害を発症する場合があるので注意が必要です。

 

Ⅱ型減圧症

Ⅱ型減圧症は比較的症状は重く、主に脳や脊髄、呼吸器系、循環器系などの需要な器官系が侵されます。特に脊髄は侵されやすい部位です。

以下はⅡ型減圧症の症状です。

部位 主な症状
脊髄 腕や足のしびれ・チクチクする痛み・筋力低下
頭痛・錯乱・意識障害・複視・けいれん
せき・胸痛・呼吸困難
内耳 重度のめまい・耳鳴り・難聴・吐き気
その他 全身のけん怠感・疲労感

脊髄の場合、チクチクした痛みや筋力低下が数時間で重症化することがあります。そのまま、まひへ進行すると後遺症が残り、最悪車いす生活となってしまうことがあります。

脳や肺が侵された場合、重症化するとショック状態となり最悪、死に至ることもあります。

内耳の場合、症状を突発性難聴と勘違いされる方が多いです。そのため診断が遅れ重症化し、手術をしても後遺症が残る可能性があります。

Kai
そもそも、ダイビングで突発性難聴は考えにくいです。

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2019-06-02

 

減圧症・予防法や治療法は?

医療イメージ 診察

減圧症には予防法と治療法があります。

ダイバーであれば誰でも減圧症に侵されるリスクがあるので、予防法と治療法の正しい知識を身につけておきましょう。

Kai
ダイビングライセンスを取得する際に減圧症への対処法も学びます。

 

予防

減圧症を予防するには身体中に窒素の気泡を作らないようにすればよいのです。

そのため、「時間をかけてゆっくり浮上すること」「潜水時間に気をつけること」が減圧症を予防するには最も効果的な方法です。

時間をかけてゆっくり浮上することで、呼吸によって身体中の窒素の気泡がゆっくり抜けていくため、減圧症のリスクを減らすことができます。

また潜水時間が短いほど気泡の生成を最小限に抑えることができるため、減圧症のリスクを減らせます。長時間の潜水は控えましょう。

Kai
目安は、水深20mでダイビングすると潜水時間は40分程度が理想です。

 

誰でも減圧症を引き起こす可能性はありますが、中高年者肥満の方は発症しやすい傾向にあります。

また、古傷があったり、前日の飲酒、日に何度も潜水するなども発症リスクを高めますので注意してください。

Kai
身体の不調を感じたらすぐにダイビングを中止することが大切です。

 

Ⅰ型減圧症の治療方法

引用:www.padi.co.jp

減圧症の治療はⅠ型減圧症とⅡ型減圧症では異なります。症状の軽いⅠ型減圧症では酸素投与のみで治療が可能です。

減圧症患者にフェイスマスクをぴったりと装着し、20~30分酸素投与をしたあたりから症状は軽減し始めます。

Kai
この時、酸素流量は10~15リットル以上、リザーバーバッグ(十分に酸素を蓄えるため)が付いたマスクを使用するのが望ましいです。

 

Ⅱ型減圧症の治療方法

引用:www.padi.co.jp

症状は重いⅡ型減圧症では高気圧酸素治療を要します。

大脳はおよそ3分間酸素供給が絶たれると機能が元に戻らなくなり、脊髄も40分以上酸素が絶たれると後遺症を残す可能性が高くなります。

減圧症患者は再圧チャンバーと呼ばれる酸素カプセルに入ります。

これは酸素を投与する目的だけでなく、海と同じ環境を作り窒素気泡を再溶解させる作用と身体から窒素をはいせつさせる作用を促し治療します。

Kai
高気圧酸素治療ではいかに早く、高気圧酸素治療を受けるかが予後を大きく左右します。

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まとめ

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いかがでしたか。減圧症について理解をしていただけたのではないでしょうか。

  • 減圧症はダイビング後、血液中や細胞の中の窒素が気泡へと変化しさまざまな組織を侵して引き起こされる障害のことである
  • 減圧症は比較的症状の軽いⅠ型減圧症と比較的症状の重いⅡ型減圧症に分かれる
  • 軽症か重症かはダイビング環境、個人の体質、コンディションなどの違いによる
  • 減圧症の予防に必要なことは「時間をかけてゆっくり浮上すること」「潜水時間に気をつけること」
  • 減圧の治療には「酸素投与」「高気圧酸素治療」がある

 

減圧症と上手に付き合うことが長くダイビングを続けていくには大切です。減圧症を正しく理解して、ダイビングを楽しんでくださいね。

 

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